すでに知っているとおり、話法の助動詞と、その過去形(konnte、musste、wollte——話法の助動詞で日常会話によく使われる過去形で、war/hatteと同じだ)がある。話法の助動詞にも完了形(Perfekt)はあるが、これまで見てきたどの動詞とも少し違う作り方をする。ふつうの過去分詞の代わりに、その位置に2つ目の不定詞が来る。この構造を二重不定詞と呼ぶ。
要点: haben(活用形)+主動詞の不定詞+助動詞自身の不定詞、この2つがまとめて文末に来る:Ich habe nicht schwimmen können. 助動詞のふつうの過去分詞(gekonnt、gemusst……)が現れるのは、従属する不定詞がまったくないときだけだ。
二重不定詞の作り方
話法の助動詞に従属する不定詞があるとき——ほとんどの場合そうなのだが——、その完了形は本来あるべき過去分詞の代わりに、助動詞自身の不定詞を主動詞の不定詞のあとに置く。
- Ich habe arbeiten müssen.(私は働かなければならなかった。)
- Er hat nicht kommen können.(彼は来ることができなかった。)
- Sie haben nicht gehen wollen.(彼らは立ち去りたくなかった。)
- Du hast schwimmen dürfen.(あなたは泳ぐことを許された。)
話法の助動詞は完了形で常にhabenを使う。従属する不定詞自体はふつうseinを使う動詞であってもだ。gehen自体の完了形はseinを使う(ist gegangen)が、話法の助動詞に従属する不定詞になっても、全体としてはやはりhabenを使う。✅ Ich habe nicht gehen können.、決して ❌ *Ich bin nicht gehen können.*ではない。
ふつうの過去分詞:従属する不定詞がないときだけ
話法の助動詞にも、ごく普通に見える過去分詞——gekonnt、gemusst、gewollt、gedurft、gesollt、gemocht——は確かにある。しかしそれが現れるのは、助動詞が単独で使われ、二重不定詞を引き起こす従属不定詞がまったくないときだけだ。
- Ich habe das gekonnt.(私はそれができた。)——従属する不定詞がない
- Ich habe das machen können.(私はそれをすることができた。)——従属する不定詞machenがあるので、過去分詞の代わりに二重不定詞が使われる
語順:habenは二重不定詞の後ろではなく前に来る
主文では、これはほかの完了形とまったく同じように働く。habenは2番目の位置に来て、二重不定詞が文を締めくくる。
- Ich habe gestern nicht kommen können.
ところが従属節では、二重不定詞が、定形動詞が必ず文末に来るという規則のよく知られた唯一の例外を作り出す。habenは二重不定詞の前に来て、後ろには来ない。
- ✅ ..., weil ich gestern nicht habe kommen können.
- ❌ ..., weil ich gestern nicht kommen können habe.
日本語には、話法の助動詞の過去を表す二重不定詞に相当するものはない。「来ることができなかった」「働かなければならなかった」は、動詞自体のふつうの過去形で表され、分詞の代わりに不定詞が入り込むようなことは起こらない。二重不定詞はドイツ語でとくに重要な、日本語話者にはなじみの薄い構文だ。
よくある間違い
- ❌ Ich habe schwimmen gekonnt. → ✅ Ich habe schwimmen können.(従属する不定詞があるので、二重不定詞が過去分詞gekonntの代わりになる)
- ❌ ..., weil ich schwimmen können habe. → ✅ ..., weil ich habe schwimmen können.(従属節では、habenは二重不定詞の前に来る。文末には来ない)
- ❌ Ich bin nicht gehen können. → ✅ Ich habe nicht gehen können.(話法の助動詞は完了形で常にhabenを使う。従属する不定詞自体がふつうどの助動詞を使うかとは関係ない)
確認クイズ
正しい完了形を入れよう。
- (müssen、ich) Ich ____ heute arbeiten ____.(habe / müssen)
- (können、er) Er ____ nicht kommen ____.(hat / können)
- 主文→従属節:Ich habe das nicht machen können. → Sie fragte, warum ich das nicht ____ machen ____.(habe / können)
- (wollen、gehen、sie——彼女) Sie ____ nicht ____ ____.(hat / gehen / wollen)
答えを見る
- Ich habe heute arbeiten müssen.
- Er hat nicht kommen können.
- Sie fragte, warum ich das nicht habe machen können.(従属節ではhabeが二重不定詞の前に来る)
- Sie hat nicht gehen wollen.(gehen単独ならseinを使うところだが、ここではhabenであってseinではない)
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まとめ
- 話法の助動詞に従属する不定詞があるとき、その完了形は過去分詞の代わりに二重不定詞を作る:haben+主動詞の不定詞+助動詞自身の不定詞。
- 話法の助動詞は完了形で常にhabenを使う。従属する不定詞自体がふつうseinを使う場合でもだ(binではなくIch habe gehen können)。
- 助動詞のふつうの過去分詞(gekonnt、gemusst、gewollt、gedurft、gesollt、gemocht)が現れるのは、従属する不定詞がまったくないときだけだ。
- 従属節では、habenは文末ではなく二重不定詞のすぐ前に来る——定形動詞が文末に来るという通常の規則の、よく知られた唯一の例外だ。